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知床五湖

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知床の見どころの1つ、知床五湖へ行きました。

 

五湖の散策路はクマの出没状況によって閉鎖されるのだけど、今年は出没が多く、

1日オープンした日はなし。半日オープンした日も数日とか。(クママークは閉鎖の日)

この日は、奇跡的にオープン!!ラッキー☆

大学時代の夏を知床に捧ぐN君も加わって、レッツラゴー!

 

事前に、ヒグマのレクチャーを受けてから出発。

制限するのではなく、自己で学んで自己責任で入る日本初の利用調整の試みらしいです。

日本で、こういうのは新鮮。(写真は、実習中の大学生が受講中の様子)

 

五湖→四湖→三湖→二湖→一湖の順に巡ります。

この日も、快晴で知床連山はくっきり見えてました。(五湖より)

 

 専門家たちの話を横から聞くのは楽しいです。(すぐ抜けてしまうけど。。。)

クマの爪跡。

 

これは三湖から。最近、水を撮るのがお気に入り。でも難しいなぁ。

 

そして、森から出て、草原が広がるハイライトの一湖。

 

すごいのはこの景色だけでなく、そこに敷かれた高架木道。

右をみれば、山と草原。

左を見れば、草原とオホーツク海。

 

木道以外、人工物が何もない景色に感動したー。これが、世界遺産知床なんだなぁ。

この木道は高床になっていて、電気鉄線が巻いてあるので、クマも上がって来ない、ということで、

この一湖だけは、クマの出没状況に関わりなく見れます。

大金をかけて作ったと言われるこの木道も、この景色が見れるなら価値あるなー、と思いました。

 

そういえば、アメリカのフロリダは湿地帯なので、国立公園内の散策路は、

至る所に木道があったような気がするけど、その辺は、予算のかけ方が違うのかなぁ。 

 

 

akkym はひたすらヒアリングしまくってました。  

何か、いいアイデアが浮かんだのかな?

 

 

 

Bison Reintroduction

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いきなりですが、今年はエコロジー・ネタもこのブログで書いてみようと思います。

私の個人的な知識の整理が主な目的なので、対象や内容が一部地域(主にカナダ)に偏ると思いますが、まぁ興味のある人は読んでみてください。

 

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今回は、カナダ・バンフ国立公園のバイソン再導入計画の話。

現在、バンフはおろか、ロッキー周辺には全くいないバイソンですが、1870年ころにはその周辺を住処としていました。

しかし、1888年には、カナダにたった8頭、北アメリカ全体でも85頭にまで減少。

1910年に、アメリカ・モンタナから700頭がカナダに運ばれてきて、なんとか絶滅の危機は免れました。

その時、バンフにも33頭来て、今もBanff Buffalo Paddock(現在閉鎖)の柵の中で大切に保護されているのですが、もはやワイルドライフではありません。 

Source; American Bison, Status Survey and Conservation Guidelines 2010, IUCN

                    ※カナダのバイソンはプレーンバイソン

2000年、カナダ国立公園は運営の最優先事項に、本来あるべき生態系(ecological integrity)の回復を挙げる中で、ワイルドライフとしてのバイソン再導入は必須のものとなりました。

なぜなら、バイソンは「キー・ストーン種」に位置付けられているからです。

キー・ストーン種とは、その種が欠けると、生態系に大きな影響を及ぼす重要な種のことで、バイソンは、植物の多様性、種子の散布、野鳥の営巣を助ける役目があるといわれています。

バイソンが戻ってくることは、今まで欠けていた一種が復活するだけでなく、周りの生態系の回復にも大きな影響があると考えられているのです。

 

しかし、もともとここに住んでいたとは言え、現在は全くいない状況で、再びバイソンを解放した場合、起こりうる問題はたくさん考えられます。

現在、生活しているグリズリー、ウルフ、エルクなどと衝突が起きるかもしれません。

昔はなかった鉄道も、現在は山からすぐ近くに走っています。

住民感情も賛否両論あるでしょう。

 

と、いうことで立ち上がったのが、「Bison Belong」というプロジェクト団体。

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市民、農場経営者たちが設立した非営利団体で、全面的にパークスカナダの支援をする立場で活動しています。

住民との意見交換、バイソンについての知識教育、研究者の講演会など、さまざまな取り組みを行いました。

住民の懸念事項についても、

・バイソンを開放するのは山の麓で、線路への接近の可能性を極力避ける。

・バイソンを、観光の見どころの一つとすることで、落ち込んでいる観光客を呼び込む効果も期待できる。

など広報し、住民の理解を得て行ったようです。 

 

 

 そして、先日2012年1月27日、カナダ政府・環境大臣と国立公園局長によって、正式にバイソンの再導入計画を立ち上げることが発表されました。(参考;パークスカナダのHP

1年以内に、具体的な計画を固めるようです。

 

過去、地域的絶滅種の再導入の例はイエローストン国立公園のオオカミが代表的です。

イエローストンの場合、捕食者であるオオカミがいなくなったことで、被食者であるシカが激増し問題となったことが背景にありました。

家畜を獲るオオカミを導入することは、当時住民から大きな抵抗がありましたが、今では再導入の代表的な成功例として紹介されています。

 

さて。

バイソンの再導入は、どのような結果が待っているのでしょうか。

とても興味深い取り組みなので、今後もチェックしていきたいです。

 

※ちなみに、2012年1月24日のニュースによると、カナダ、エルク・アイランド国立公園のバイソン70頭がアメリカのモンタナに返されました。ある記事では100年かけた壮大な大移動、なんて言われてましたね。

 

なんか、クライミングの方と違ってノリがわからず真面目な文になりました。 

近いうちに、次回を書けたらいいのだけど。

 

 

Weeding Wednesday

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毎週水曜日は、バンフ国立公園ではWeeding をやってます。

私は一応シティズン・サイエンティストなので、1回は参加しとかねば!

ということで参加してみました。

 

何をするか詳しい内容は知らなかったのだけど、なんとなく

「どっかのトレイル歩きながら、外来種抜くのかなー。」と思ってました。

今日はどこだろう?とワクワクしながら行ってみると、

連れて行かれたのはバンフのダウンタウン。

 

場所は、バンフ国立公園が管理する花壇。

つまり、ただの雑草抜き。毎週、ここでやっているみたいです。

 

ちょっとガッカリ、、、と思ったら、なんと参加者はスタッフ、私ともう1人の3人。少なっ!

もうちょっと参加者いると思ったんだけどなー。と、さらにガッカリ。

 

まぁそんな感じで始まった雑草抜きですが、(性格上)やり始めると没頭しました。

抜くのは3種類。

Clove、つまり、クローバー。これ、根っこが凄い強くて、めっさ繁茂するのが早いらしい。

そして、左が「何とかGrass」、右がPea(マメ科の植物)。

 

他の参加者と雑談しながらも、手だけはしっかり動かし、クローブの群生と格闘。 

そういうわけで、2時間ほどすると、美しい花壇が完成しました~。

 

バンフの皆さん、インフォメーション・センターの横の花壇、見てみてください!

私、雑草抜きしました!!(1回だけ)

 

 

 

 

 

Citizen Scientist

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少し前の記事にも書きましたが、この4月から、パークス・カナダ(カナダ国立公園管理局)で、

シティズン・サイエンティストとしてお手伝いすることになりました。

 

14.jpgさて、「国立公園」、と聞いて何をイメージできますか?

たいていの日本人は、日本の国立公園について、何もピンと来ないかもしれません。

 日本の国立公園は環境省が管理していますが、机上の書面管理が主で、現場管理の専門スタッフはほとんどいません。いたとしても、なかなか思うような現場管理ができていないのが実情ではないでしょうか?

 カナダでは、パークス・カナダ(国立公園管理局)が管理・運営しているのですが、レンジャー(ワーデン)が現場の安全管理をし、研究者が科学的知見に基づいた自然管理をし、事務員が書類管理をし、、、と、さまざまな役割の人がそれぞれの専門性に応じた役割を果たしながら、国立公園という国の財産を自然に近い形で管理し(←ここが重要)、またそれを国民に還元しています。

 

 私がやることになった、「シティズン・サイエンティスト」とは、バンフ国立公園の研究者のお手伝いをするボランティアです。

 公園内に生えている外来種を抜いたり、動物のフンや足跡を見て行動範囲をチェックしたり、山火事後の木のヘルスチェックをしたり、、、と仕事はさまざま。 

 

 

さてさて。前置きが長くなりましたが、先日は、そのオリエンテーションに参加してきました。

 

午前中は座学。参加者は10名ほど。

DSC03658.JPG生態学についての基礎を学びました。

話を聞くだけでなく、こちらからも発言して参加しなければなりませんでした。

 

例えば、用語の説明。生態学(エコロジー)に関する言葉を1人2つずつ与えられて、それを自分の言葉で説明します。

 

撹乱(disturbance)、レジリアンス(resiliance)、順応的管理(adaptive management)、キーストーン種(keystone spieces)、野生動物コリドー(wildlife corridor)、、、、

 

みなさん、わかりますか?聞いたことがありますか?

私は、夫の仕事上、よく解説してくれるのでだいたい知ってるけど、正しい意味を説明することはできません。

しかし、この日参加していたシティズン・サイエンティストの方たちはスラスラと的確に説明してました。しかも英語で。(←これは当たり前か)

ちなみに、私のお題は、エコシステム(ecosystem)とコメモラティブ・インテグリティ(comemorative integryty)。エコシステムはなんとかクリアしたけど、コメモラティブ・インテグリティは周りに助けてもらいました。。。(汗)

 

しかし、周りの基礎知識の高さに感心しっぱなし。。。

こういうのに参加する人だから元々このトピックに興味があるのだろうけど、

ボウバレー(キャンモア&バンフ地区)に住む人たちは、自然やエコロジーに関する知識が平均よりかなり高い気がします。 

 

午後からは、外へ。

ワイルドライフ・ラボへ連れて行ってもらいました。

ここは、研究のために捕獲された動物を冷凍、解体するところです。

 

凍ったレッド・フォックスとウルフ(写真左)と、色んな動物の足(写真右)。

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グリズリーパウはこちら(下)。

DSC03606.JPG

 

私の顔くらいの大きさ。

こんな手で叩かれたら、首が飛びますな。。。

 

 

 

 

 

その後は、レンジャーのギア倉庫を見学。1人1人にデカイクローゼットが与えられた上で、共同装備が外に並んでました。

 

ここはクライミングショップか!と言いたくなるほど、ギアが充実。(写真左)

ロープとハーネスもたくさん。(写真右)

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ヘリで救助できないとき等に使うボート。(写真左)

山スキーもきれいに並んでました。(写真右)

DSC03613.JPGDSC03614.JPG    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に認定式。

バッチとユニフォームをもらって修了。 

DSC03662.JPG何度も何度も、「あなたたちは、もう立派なパークスの一員です。誇りを持って仕事をするように。」と言われ、嬉しい気持ちと、久しぶりにピリっと身の引き締まる緊張感を味わいました。

 

作業が多いのは夏ですが、それまでに参加したトレーニングの様子など、またここで紹介できたら、と思ってます。 

DSC03664.JPG " You should be proud of being a member of Parks Canada!!! " 

 

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