動物保護の最近のブログ記事


Rock & Snow #063が発売されました。


その中で、瑞牆の『クライミングエリア内の希少猛禽類営巣地の保全について』という記事がありましたが、もう読まれましたか?

akkym がその記事を読んで、職業柄、色々言いたいみたいなので、興味のある人はどうぞ(↓)



------以下 akkym 記 -----

新しいR&Sに瑞牆のカンマンボロンと大面岩でのハヤブサ繁殖時期の登攀自粛の呼びかけがのっていましたね。

生物多様性や自然公園管理に関わる者の意見としては・・・

1)ハヤブサ(ファルコン)の営巣に与えるクライマーの影響は昔から議論されてきたテーマであり科学論文もそこそこある。その結果、スコーミッシュなどでは一部登攀禁止になるエリアを設けている。

2)ハヤブサの繁殖に影響する要因は、クリフの標高・サイズ・傾斜・方位、卵を食べる捕食者の存在、クライマーの存在である(Arambarri & Rodríguez 2010など)。ちなみに、大きくてスティープな崖程よいとの報告もある。

3)ハヤブサの卵の捕食者でるカラス科の鳥に匹敵するほどに、クライマーは悪影響があるとの報告もある(Brambilla et al. 2004)。

4)瑞牆山が国立公園に位置する。

5)ハヤブサが環境省レッドリストのVU種である。

などを鑑みて、

「ハヤブサであることが確認されたならば」、繁殖時期の登攀自粛をする妥当性はあると思います。3-5月が妥当な範囲でしょうか。

ただし、対象となる可能性があるのは、上記の岩場だけではないかもしれません。ハヤブサの好む環境的には、不動沢の岩峰群や十一面岩も繁殖営巣の場所として利用される可能性があります。





Bison Reintroduction

| コメント(0)

 

いきなりですが、今年はエコロジー・ネタもこのブログで書いてみようと思います。

私の個人的な知識の整理が主な目的なので、対象や内容が一部地域(主にカナダ)に偏ると思いますが、まぁ興味のある人は読んでみてください。

 

---------

今回は、カナダ・バンフ国立公園のバイソン再導入計画の話。

現在、バンフはおろか、ロッキー周辺には全くいないバイソンですが、1870年ころにはその周辺を住処としていました。

しかし、1888年には、カナダにたった8頭、北アメリカ全体でも85頭にまで減少。

1910年に、アメリカ・モンタナから700頭がカナダに運ばれてきて、なんとか絶滅の危機は免れました。

その時、バンフにも33頭来て、今もBanff Buffalo Paddock(現在閉鎖)の柵の中で大切に保護されているのですが、もはやワイルドライフではありません。 

Source; American Bison, Status Survey and Conservation Guidelines 2010, IUCN

                    ※カナダのバイソンはプレーンバイソン

2000年、カナダ国立公園は運営の最優先事項に、本来あるべき生態系(ecological integrity)の回復を挙げる中で、ワイルドライフとしてのバイソン再導入は必須のものとなりました。

なぜなら、バイソンは「キー・ストーン種」に位置付けられているからです。

キー・ストーン種とは、その種が欠けると、生態系に大きな影響を及ぼす重要な種のことで、バイソンは、植物の多様性、種子の散布、野鳥の営巣を助ける役目があるといわれています。

バイソンが戻ってくることは、今まで欠けていた一種が復活するだけでなく、周りの生態系の回復にも大きな影響があると考えられているのです。

 

しかし、もともとここに住んでいたとは言え、現在は全くいない状況で、再びバイソンを解放した場合、起こりうる問題はたくさん考えられます。

現在、生活しているグリズリー、ウルフ、エルクなどと衝突が起きるかもしれません。

昔はなかった鉄道も、現在は山からすぐ近くに走っています。

住民感情も賛否両論あるでしょう。

 

と、いうことで立ち上がったのが、「Bison Belong」というプロジェクト団体。

29696_122973571056673_122965377724159_192749_1132260_n(2).jpg

 

市民、農場経営者たちが設立した非営利団体で、全面的にパークスカナダの支援をする立場で活動しています。

住民との意見交換、バイソンについての知識教育、研究者の講演会など、さまざまな取り組みを行いました。

住民の懸念事項についても、

・バイソンを開放するのは山の麓で、線路への接近の可能性を極力避ける。

・バイソンを、観光の見どころの一つとすることで、落ち込んでいる観光客を呼び込む効果も期待できる。

など広報し、住民の理解を得て行ったようです。 

 

 

 そして、先日2012年1月27日、カナダ政府・環境大臣と国立公園局長によって、正式にバイソンの再導入計画を立ち上げることが発表されました。(参考;パークスカナダのHP

1年以内に、具体的な計画を固めるようです。

 

過去、地域的絶滅種の再導入の例はイエローストン国立公園のオオカミが代表的です。

イエローストンの場合、捕食者であるオオカミがいなくなったことで、被食者であるシカが激増し問題となったことが背景にありました。

家畜を獲るオオカミを導入することは、当時住民から大きな抵抗がありましたが、今では再導入の代表的な成功例として紹介されています。

 

さて。

バイソンの再導入は、どのような結果が待っているのでしょうか。

とても興味深い取り組みなので、今後もチェックしていきたいです。

 

※ちなみに、2012年1月24日のニュースによると、カナダ、エルク・アイランド国立公園のバイソン70頭がアメリカのモンタナに返されました。ある記事では100年かけた壮大な大移動、なんて言われてましたね。

 

なんか、クライミングの方と違ってノリがわからず真面目な文になりました。 

近いうちに、次回を書けたらいいのだけど。

 

 

Jumbo <おまけ> その1

| コメント(0)

 

先日ツアーで訪れたJumbo エリアについて、少し紹介しようと思います。

 

カナダのBritish Columbia州にあるPurcell(パーセル)山脈に位置し、Jumbo Glacier と呼ばれる氷河地帯でもあります。

jumbo_map.jpgJumbo は、豪雪地帯のレッドマウンテン、ファーニー、ホワイトウォーターを結ぶパウダートライアングルの真ん中にあり、雪質・量ともに最高な場所であることから、バックカントリースキーをするには、素晴らしい場所なんですが、それゆえにスキーリゾートを作ろうという計画が持ち上がっています。

Jumbo Glacier Resort」 という名前で計画が進んでいるのですが、ここに、5500部屋のホテル、750部屋のスタッフルームを建設し、冬は3400mまで100%天然雪で、夏は700mまでの氷河を滑る、という通年営業スキー場を建設するとか。

計画が実行されれば、ハイシーズンには国内外から多くの客が訪れるし、建設には雇用も生み出せる。

 

一方で、Jumbo エリアは、グリズリーを含む多くの野生動物の重要なコリドーになっていることからWild Jumbo という団体が反対しています。

また、スキーヤー、研究者、そして住民の大半が反対しているとか。

 

ツーリズムやレクレーションの観点からすると、バンフ・ホットスプリングスやシャトーレイクルイーズがそうであったように、最初は強い反対があっても、リゾートとして成功すると、たくさんの雇用が生まれ、外貨が流入し、経済が潤い、住民にとってはなくてはならない観光資源となるかもしれません。

しかし、Jumbo の場合、町から遠いことや、すでにパノラマ・リゾートがあることから、さらにリゾートを建設することを住民に説明して納得してもらうのは難しいかと思います。

 

カナダ国民でない私が、この国の経済事情を無視して、単純に「建設反対!」を訴えるのは無責任ですが、、個人的にはJumbo はWild な魅力を残したまま、その自然を理解できる多くの人に訪れて楽しんでもらいたいと思います。

 

 

カナダでは有名な、Kicking Horse Coffee

いろいろ種類があるのですが、こないだ発見したこれ、ズバリ、「JUMBO WILD」!

裏にはしっかり、スキー場建設反対のステッカーが貼ってあります。

DSC03452.JPG DSC03453.JPG 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年9月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

最近のコメント

月別 アーカイブ

アーカイブ

海外ツアー情報