東京大学で開催された日本生態学会の年次大会が終了しました。
今回の大会では久々のポスター発表をしましたが、あまりのポスター数の多さに驚きました。年々、生態学会が大きくなっていることを実感します。また、今回は、生態系管理の部門で発表をしましたが、生態系管理といっても、研究基盤となる生態系管理の概念が非常に多岐にわたること(実際に、生態系管理の概念は、研究者の数だけあるとも言われている)、言い換えると、まだまだ整理されていなく混沌としているという印象を受けました。
私自身は、生態系管理(Ecosystem management、あるいは、Ecosystem-based management)は、より広義のエコシステムアプローチが意味するように、保全や管理対象をあくまでシステムとして捉え、その中での機能や動態を尊重することに主眼をおくものだと思っています。→Christensen et al. (1996) Ecol. Appl. その意味では、保全生物学という分野の広い意味での一部であるが、生態系の階層性(個体群、群集、景観など・・・)のごく一部にフォーカスするのではなく、それらの相互作用や相互依存性をも考慮して、システムの動態や健全性を維持、管理しようとするものだと思っています。良く言えば、柔軟な、悪く言えば、曖昧な概念だと思います。
しかしながら、学会に参加すると、この発表は、いわゆる保全というカテゴリのなかで発表したほうがよいのではないだろうかと思えるものもあります。それは、私の生態系管理に関する概念的な先入観(上述のような)によるものもあると思いますが、日本における生態系管理の概念的あいまいさを反映している気もします。
つまり、ここで述べたいのは、生態系管理の概念的なことについて、もう少し考えてみたいと思っているということです。曖昧なところをより熟考し、先入観に固まっているところをもっと柔軟に捉えたいです。ちなみに、どなたかこの議論に付き合ってくれる方、ぜひご連絡ください。