2年ぶりにスウェーデンを訪れました。今回の訪問目的は、生物多様性に関連した森林管理に関して、研究者や政府関係者にインタビューをすることと、現地の視察です。
いつもお世話になっているスウェーデン農科大学(SLU)を中心に、Forest Stewardship Council(FSC)、Swedish Forestry Agency(Skogsstyrelsen)、Abiesko Research Station(Umeå University)などを訪問しました。
スウェーデン北東部のNature Reserveにも連れて行って頂きました。スウェーデンらしく、地衣類や苔類が繁茂し、リンゴンベリーがたくさん見られました。
森林局のスタッフもウェルカムボードまで用意して丁寧に1日かけて相手をしてくれました。スウェーデンでは、1994年に発令されたSwedish Forestry Actの第1項において、生物多様性と生産性の双方に、均等に重きを置くといったことが明記されており、それが重要だと強調されました。
ウプサラ近くの施業地では、現地の森林官とともに、林地を案内してくれました。
Green planに基づいて、施業を行うようで、上記の写真は、1週間前のclear-cutの場所です。重機を入れる前に、枝葉で土壌を保護し、全部を切り払うのでなく、広葉樹などを中心にretentionするなど、写真の森林官が現場の判断で行っているとのことです。(retention systemやretention patchについては、2007および2009の論文を参照ください)
管理地の中には、伐採せずに保護する対象としてGreen planに記載されている場所があります。 たとえば、下の写真は保全価値の高い林地に出現する指標種のひとつです。
このような指標種がいる場合、 生態学的に保全価値が高いと判断され、伐採対象から外されています。
今回は、スウェーデンでは、僅かな天然林が北部にしかほぼないこと、国立公園が北部に偏っていることなどから、アビスコのリサーチステーションも訪問しました。ラップランドは、9月中旬で、すでに紅葉真っ盛りでした。
生育期間の短い北欧の国で、生産性を維持しながら、生物多様性にも配慮して、林業を行うことができているのであれば、日本は中緯度に位置し生育期間が長く、そして降水量にも恵まれていることから考えると、双方を両立させる何らかの手立てがあるはずだと思います。これから半年かけて、もう少し考えたたいと思います。