先日、編集委員をしている雑誌より注意が回覧されました。内容は、査読者(reviewer)の詐称に関することです。詳しいことは、NatureあるいはRetraction Watchに掲載されています。
要は、電子投稿・査読システムの中で、別人を装って自分を査読者にするように偽装した事例があったようです。現在の電子システムならではでの問題です。
著者が査読者を指定しなければ良いのではという意見もあるようです。しかし、実際に編集委員をしていると、査読者を探すのは結構大変で、著者の指定する査読者に査読依頼を出したくなるのは理解できます。
ところで、査読システムですが、雑誌によって色々と編集指針が変更されつつあります。たとえば、Conservation Biologyは、昨年ダブルブラインド(査読者も著者も匿名)に移行したと聞きました。一方で、すでにダブルブラインドを実施しているEnvironmental Managementは、もうすぐ従来のシングルブラインド(査読者だけが匿名)に戻す可能性が高いとのことです。
方法論の確かさだけを審査するPlosOneやScientific Reportsなどの雑誌も増えており、データの公開を求める雑誌も相当に増えています。つまりは、査読のあり方も多様化しています。
いくつかの雑誌の編集委員をしていると、雑誌ごとの特徴やそれぞれの査読システムの長所や短所も見えてきます。しかし、これがもっとも最適という査読システムはなく、模索というよりある意味迷走していると思えることもあります。
編集者の確認作業も増えている気がしますが、各雑誌の査読システムは毎年揺れ動いているので、著者も投稿前にきちんと確認したほうが良いですね。