生物多様性に関する新しい論文が、Biological Reviewsに掲載されました。
多くの場合、生物多様性は生態系のプロセスを高めます。よく知られた例が、植物の一次生産で、生物群集の多様性が高いほど、群集全体としての生産性が概して高まります。他にも、在来種の多様性が高いほうが、外来種に侵入されにくいことが知られています。このような生物多様性と生態系の機能性の関係性について、環境変動(撹乱)を絡めて論じたものです。
生物多様性が高いほうが、ポリネーションやペストコントロール、生産性、有機物分解、などなどといった生態系が発揮する機能性が概して安定化すると言われています。ある種がいなくなっても、他の似た種(機能的冗長種)が同じ役割を担うことで、生態系機能が損なわれないためです(ざっくり述べると)。
このような環境変動下で生物多様性が担う役割について論じた総説です。とくに、生態系の突然変化(レジームシフト)や復性・柔軟性・適応性(レジリアンス)と生物多様性についての関連性を明確に解説したはじめての論文だと思います。
難しくなりましたが、要は成果が出て一息なのです。