今年は、International Year of Forestsであることもあり、カナディアンロッキーのバンフ国立公園では「Fire in the forest」というFire scientistとハイキングをしながら、山火事の話を聞くという催しに参加しました。場所は、バンフ国立公園のJohnson Lakeという湖の周辺です。ロッジポールマツ、ポプラ、ダグラスファーなどの森林に囲まれています。
過去の山火事抑制の失敗や、その問題からの生態系復元のための火入れ、樹皮で光合成をするポプラがエルクによって食害されることで林床火事への耐性が高まること、構造的に発達している森林がより健全であることなどについて、ハイキングをしながらのレクチャーでした。
現在、バンフ国立公園では、ダグラスファーは限られていますが、かつてはもっと優占していたそうです。内陸部のダグラスファーの森林は、林床火事で維持された疎林です。樹皮が厚く燃えにくいダグラスファーは、林床火事により下層植生がコンスタントに燃えることで、維持されてきました。
かつてはダグラスファーの疎林がもっとあったのは、気候条件か先住民(First Nation)の火入れか、どちらの影響が強かったのかを聞いたところ、年輪中に残された火事の痕跡が春に多いことから、先住民の影響が大きいのではないかとのことでした。
現在、ダラスファーの疎林を維持するために、定期的に火入れを行い、モニタリングを継続しているとのことでした。なお、はじめてバンフ国立公園で火入れを行った際には、6haの火入れに、10台のトラックと30人がかりで3週間要したのが、現在では1台と4人で半日で済むそうです。はじめての時は相当に恐る恐る火入れをしたのでしょうね。
以上のような、国立公園の利用者向けのイベントは、北米では非常に多く行われています。このような活動は、生態学という科学が社会と関わりながら、生態系の管理を行う上で非常に重要だと思います。