テキサス・オースティンでのアメリカ生態学会の年次大会に参加しました。参加者は約4000人とのことなので、日本の生態学会の2倍強でしょうか?多くの人で賑わっていました。
感想としては、日本の生態学会での発表傾向と結構異なることが印象的でした。日本で発表件数も多く聴衆も多いようなポピュラーな分野が発表数が少なかったり、全く見受けられなかったりしました。あるいは、逆に日本ではあまり見かけないような分野の発表が非常にポピュラーであったりということもあり、生態学における現在のトレンドについて考えさせらました。なお、日本と共通なのは、最近では応用生態学の発表がやはり増えているようです。
もうひとつ印象的だったのは、今回のテーマである「Earth stewardship」のシンポジウムの際に、学会長であるアラスカ大学のDr. Chapin III の発表の前に、アメリカ最大のオーガニックフードのマーケットチェーンであるWholefoodsによる発表があったことでした。企業として最大のウリである「Sustainability」にどのように取り組んでいるのかについての講演がでした。このような発表があることが、学会の内容の多彩さにつながっているとも感じられました。
その他にも、Ecology、Ecological Monograph、Ecosphere、Frontiers in Ecology and the Environment、Bulletin of the Ecological Society of America、American Naturalist、Ecology Letters、Trends in Ecology and Evolutionの編集長が集まって、論文の採択までにおける過程について、学生やポスドクの人たちの疑問に直接に答えるワークショップなどもありました。Bulletinの編集長が、私のカルガリー大学でのホストであるので、様子を見に行きました。キャリアの若い人たちが、これらの雑誌の編集長と直に話せる機会があるのは、とても大きなアドバンテージだとも思います。多くの有力雑誌がアメリカ系であるので、当たり前ですが、日本人にはいろいろと不利があることも同時に考えさせられました。
日本からも精力的に発表に来ている方々を見かけ、いろいろな意味で良い刺激となりました。
オースティン名物である夕方のコウモリも会場近くで見れました。