エルニーニョ・南方振動

エルニーニョ・南方振動(El Niño-Southern Oscillation、ENSO)とは、赤道太平洋の海面温度と大気とが連動して変動する、ある程度の周期性をもったテレコネクション(遠隔相関)の1種です。太平洋赤道域東部の海水温が上昇するとエルニーニョ現象で、その反対で太平洋赤道域東部の海水温が低下するとラニーニャ現象とされています。

さて、このエルニーニョとラニーニャですが、多くの地域の気候に影響します。たとえば、エルニーニョになると、貿易風に変化が生じます。通常、貿易風により、赤道上で暖められた海水が太平洋西部のインドネシアやオーストラリアに流されています。しかし、エルニーニョが発生すると貿易風が弱まり、通常風(西風)によって運ばれる暖かい海流が太平洋東部(アメリカ大陸方面)に流れ込みます。その時、太平洋西部の海面温度は逆に下がり、乾燥化や強い干ばつが起こり、山火事につながります。

強いエルニーニョの場合、暖流は太平洋東部地域全体に広がっていき、時には、ワシントン州やバンクーバー島沿岸部にまで達するほどに広がります。この時、海面温度は、通常より2-3度上昇することもあります。これにより、気圧やジェット気流に変化が生じます。エルニーニョ時には、ジェット気流の流れが南に下がります。ジェット気流が通るカリフォルニアや南部ロッキー地域では降水量が増え、逆に熱帯の湿った空気が上がってこない北米北西部沿岸地域や北部ロッキー地域では乾燥化が起こり、降水量が下がります(NOAAによる下図を参照)。

 

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ラニーニャ時には、逆に、太平洋東部沿岸地域や北部ロッキー地域は、降水量が増えます。これが、この冬、カナディアンロッキーでの大雪予想の根拠です。結果として、この冬はかなり雪が降っています。以前に、今年は小雪でなかなか理屈通りには行かないですねと書きましたが、理屈通りになってきました。

ということは、今年の夏は、残雪多い→夏が短い→山火事が(特に大規模なものが)少ない、というシナリオが考えられます。でも、先の記事先の論文で書いたように、私はPDOのほうが強い影響を持っていると思っています。

 

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