2015年12月アーカイブ

シンポジウム告知

2016年1月23日(土)に東京大学農学部にて、シンポジウムを開催します。

Journal of Applied Ecologyの編集長であるDr. Marc Cadotte(トロント大学)を基調講演に招いての2部構成のシンポジウムです。

1部では、群集生態学、とくに系統情報を用いた研究について、2部では、学術雑誌の編集プロセスについて、それぞれ講演を行います。言語は日英ハイブリッドで行います。

##(以下、敬称略)

企画者:森章・辰巳晋一・岡田慶一(横浜国立大学環境情報研究院)
日本生態学会関東地区会・公開シンポジウム:Ecological Researchセミナー
日時:2016年1月23日(土)13:00-16:40
会場:東京大学農学部 フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_07_14_j.html
事前申し込み不要,参加費無料

タイムテーブル
第一部:The tree of life in ecology and evolution

13:00-13:05 森章 (横浜国立大学環境情報研究院)
趣旨説明

13:05-13:50 キーノート Marc Cadotte (Department of Biological Sciences,
University of Toronto-Scarborough)
The evolution of ecosystem function

13:50-14:20 Richard Shefferson (東京大学総合文化研究科)
The phylogenetic dimensions of interaction specificity

14:20-14:45 辰巳晋一 (横浜国立大学環境情報研究院)
Inferring community assembly from phylogenetic diversity

14:45-14:55 ディスカッション

第二部:生態学における学術出版の編集プロセスとトレンド

挨拶
15:10-15:15 可知直毅 (日本生態学会理事・副会長)

15:15-15:45 Marc Cadotte (Executive editor, Journal of Applied Ecology)
Achieving and communicating globally relevant research

15:45-16:05 岡田慶一 (Copy editor, *Ecological Research*)
Ecological Researchの30年:トレンド変遷とこれからの発展を考える

16:05-16:20 Richard Shefferson (Associate editor, Journal of Ecology)
生態学者と科学雑誌:最近のトレンド

16:20-16:35 森章 (Associate editor, Journal of Applied Ecology, Scientific
Reports, and Journal of Forest Research)
アカデミアにおける多様性と不平等性

コメント
16:35-16:40 久米篤 (Editor-in-Chief, Ecological Research)

生物多様性と生態系の多機能性

生物多様性と生態系の多機能性(Biodiversity-ecosystem multifunctionality)に関する論文がEcology Lettersにてオンライン出版されました。

知床プロジェクトの成果です。

Mori AS, Isbell F, Fujii S, Makoto K, Matsuoka S, Osono T (2016) Low multifunctional redundancy of soil fungal diversity at multiple scales. Ecology Letters 19: in press.

多様性を人為に操作した実験系ででなく、自然プロセスで多様性が形成されている現実系においても、生物多様性が生態系の多機能性を支えていることを示しました。また、あわせて機能的冗長性の低さを示し、生物多様性の役割について論じました。

BES2015

スコットランドの首都、エジンバラへ行ってきました。初のイギリス生態学会の年次大会へ。
IPBESの共著者、雑誌関連、諸々お世話になっている人たちに会ってきました。

edinburgh1.jpg

街並みを望む。

edinburgh2.jpg

街はすっかりクリスマス。クリスマスマーケットも賑わっていました。

edinburgh3.jpg

大量のサンタクロースも集合していました(その後、走っていました)。

そういえば、学会の写真がない・・・。しっかり全日参加しました。

アカデミアにおける多様性と不平等性

上記のとおり、科学出版(つまり論文)における不平等性についての論文を出版しました。

解析は自然科学(群集生態学)なのに、内容が社会科学的という領域横断型の性質により、掲載対象の雑誌がなかなかに見つからずに、公表までに時間を要しました。

Mori AS, Qian S, Tatsumi S (2015) Academic inequality through the lens of community ecology: a meta-analysis. PeerJ 3: e1457.

生態学の分野における2014年までのメタ解析論文454報について、出版雑誌と著者所属国の多様性の時間変化を示しました。さらに、論文出版に影響する要因を解析しました。


概要は以下の通りです。

1)論文数や出版雑誌数は増えているにも関わらず、著者国の多様性はむしろ減少し、一部の国(centrally-located countries)の優占が進みつつあること

2)上記により、生物群集におけるSpecies-abundance distribution(SAD)に相当するような国ランキングのカーブが形成されていること

3)著者国がどこであるかが論文のインパクトファクターに影響し得ること(つまり国の知名度(reputation)が論文出版に影響しうること)

4)夏季オリンピックメダル数・ノーベル賞受賞者数・国内総生産(GDP)の国ランキングも、論文数と同様のSADカーブを描くこと(ただし日本は論文数が少なく外れ値)

5)上記により、科学・社会・スポーツの分野をまたいで、不平等性にある種の普遍性というか根深さがあること

以上から、科学などにおける平等性を促進するフレームワークの必要性を強調しました。

論文紹介(J Appl Ecol)

Journal of Applied Ecologyで編集を担当した論文の紹介、第2弾。
分断化景観で残存する小規模な生息地パッチの意義を問う研究です。
Journal of Applied Ecologyのブログで紹介をしました。

52_6 thumbnail.jpg

研究にまつわる写真

  • edinburgh3.jpg
  • edinburgh2.jpg
  • edinburgh1.jpg
  • 52_6 thumbnail.jpg