現地調査の記録: 2010年9月アーカイブ

知床ツアー2010に参加したメンバーからのコメント、続きます。

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これまでは山を登ることはよくあっても、
ある程度決まった標高帯で、それも基本的には木本植物に注目しながら、
という形が主でした。

なので、今回のように、
各標高帯でプロットを張って、かつ
様々な生物分類群の専門家のみなさんと調査ができたというのは
非常に貴重な体験でした。
いつもより山への理解がずっと深まりました。

また、道々で草木の名前を聞いたり、
地衣の保存の仕方やコケのタイプ分けを教えてもらったりと、
楽しく、勉強になりました。

それから、同じ場所で他の方が一緒にとったデータが
形になるというのは非常に楽しみです。
それを自分もそのデータを利用し、
また自分のデータや解析結果も利用していただけるというのは
うれしいことであります。

個人的にはみなさんがキツイとおっしゃっていた
標高1000m、1200mのプロットよりも
最初の400mプロットが一番きつかったです。

雨が降っておりましたし、調査の勝手も調査メンバーのこともよく分からず、
体力への不安もあったからです。

後半になるほど楽になっていったのは、
天気の回復と調査隊のみなさまのおかげかと思います。

山頂まで行けなかったのが残念でした。
今、当地で手に入れたガイドブックを読んでいて、
(調査中は余裕がなくて読む暇がなかった)
是非また行きたいと思っておる次第です。

池田 あんず

知床ツアー2010に参加したメンバーからのコメント。
続いては、おそらくメンバー最年少の大崩くんです。

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本格的な調査は今回が初めてという私にとって、この知床調査はかなり過酷でした。

サークル(京都大学野生生物研究会)活動で
フィールドにはある程度慣れているつもりでしたが、
そこはやはり、知床!森先生!そして雨! 
己の無力さを痛感しました。

「こ、この藪の中に入っていくのか!?」とか
「歩くの速えぇっ」とか
「休憩少なっ」とか
「雨降ってるけど・・・やっぱ行きますよね、ハイ」とか

最初はいろいろ考えてはいたものの、私も男なので、
女性が頑張っている以上負けられません。
そしてそのうち考えるのもしんどくなり、日程中盤からは無心でしたね。
 
実は私は一点大きな勘違いをしたまま調査に参加していました。
コケ要員は他にもいて、私はそれの手伝いだと思っていたのです。

他の対象分類群はみな複数いるのに、どうやらコケは私一人のようだ
と気付いた時のショックといったら・・・
本当に大丈夫なのだろうかと不安になり、そして今も不安です。
 
そして、「あぁ調査ってこういうものなんだ」と徐々に適応していった
日程終盤のことです。

この日森先生の隣に座った私は、

「植生調査ってこんなに大変なんですねー」

と話しかけてみると、森先生の口から驚愕の事実が!

「普通のはもっと楽っていうか、こんなに過酷なのはあんまりないよ」

なんとっ!相場を知らない私は、
知らず知らずのうちにこんなハードな調査に巻き込まれていたのか・・・
 
しかし私は、もちろん恨んだりなどはしていません。
学部2回生の分際で本格的な調査に同行させていただいて、
こんなに幸せなことなないと思います。

そして、この調査に参加できたことは私の誇りです。
なによりも、私の名前を挙げてくれた大園先生と、
私を信用して調査をまかせてくれた森先生には本当に感謝しています。

調査の邪魔になっていなかったか心配ではありますが、
その分結果はきちんと出したいと思います。

研究室などないので、完全に自宅に引きこもる事になりそうですが、
顕微鏡とピンセットとカミソリを駆使して、
コケの声が聞こえるまで、彼らを見つめ続けるつもりです。
私の大学二回目の夏休みは、知床のコケに捧げます!

大崩貴之

知床ツアー2010に参加したメンバーから、
今回の調査に関するコメントが寄せられています。

順番にご紹介しようと思います。
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今回の調査は、対象生物への高度な専門知識を有するメンバーが集まり、
合同で調査を実施することが出来た点で貴重な機会だったと思っています。
その価値を、得られた知見という側面から位置付ける事は今後の私たちの責任です。

一方で、本研究単独の成果とは別に、私を含めた「学生」にとって、
近接分野の研究者との交流・共同研究の機会を得る事が出来たことは、
今後の自らの研究の方向性を考える上で大きな意義があったことは
間違いの無いところだと思います。

出会うことが出来た皆様の、今後のご活躍を楽しみにしています。

原口 岳