知床生物多様性評価プロジェクトとは

知床生物多様性評価プロジェクト概要 

世界自然遺産として評価された知床がフィールドです。 
知床は、2005年に、ユネスコ世界自然遺産として登録されました。 極めて特徴的な生態系を有し、生物多様性の保全上最も重要な生物が生息・生育する地域であることが、登録の際に評価されています。 

地衣・蘚苔類や土壌動物といった小さな生き物から、樹木のような大きな生き物まで、さまざまな生物相の調査を行っています。 
知床の森林には、たくさんの種類の樹木が生えています。調査地内にある樹木は、その太さや高さを測定します。また、樹木の下にも、たくさんの植物が生きています。これらの植物の種類や数も記録しています。実は、他にも、なにげなく森林を歩いただけでは見つけることのできない生物が、森林には数多く生息しています。樹の幹にいる地衣の仲間、倒木の上にいるコケの仲間、地面の下で主に生活しているトビムシやダニ、クモなどの土壌動物に関しても、調査をしています。 今後の環境変化に伴って、知床の森林の生物相がどのような影響を受けるのかを評価するための基礎的な情報になれば、と思っています。

生き物だけでなく、森林内に現存する枯死木にも、注目しています。
天然の森林には、立ち枯れた木、枯れて地面の上に倒れた木、上から落ちてきた大きな枝など、多くの枯死木が散在しています。森林に生きる生き物にとって、枯死木が重要な役割を果たしているということがさまざまな地域で実証されつつあります。 私たちは、森林内にどれほどの枯死木が存在するのか、また、その枯死木の上で、どのような生物が生息しているのかも記録したいと思っています。   


プロジェクトの目指すところ

知床自然遺産コアエリア内の森林生態系に関する、客観的なデータを収集します。 
知床の森林には、どんな生き物が、どこに、どれぐらい生息しているの?この素朴な、一見単純そうな疑問に答えるために、メンバー全員で調査・研究を進めています。 将来的には、自然遺産の保全、維持管理を考える際に役に立つ情報を提供したいと考えています。 

学問的にも興味深い研究成果を生み出すことを目指しています。
メンバーで協力して得たデータを使って、それぞれの専門分野を活かした解析を進めています。生態学、植物学など、各分野の発展に資する研究成果を生み出したいと思っています。   

研究成果を多くの人と共有します。 
研究成果が得られた後は、学会や論文で、研究者コミュニティー内に向かって成果を問うだけでなく、現地の関連団体や行政機関への研究の成果を還元することが必要であると考えています。研究成果をさまざまな立場の方と共有する方法も同時に模索します。