知床での研究成果:シカ選好性とリター分解
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2016年7月09日
知床での卒業研究シリーズの成果の第3弾、M2の笠原を第一著者とする論文が掲載されました。
Kasahara M, Fujii S, Tanikawa T, Mori AS (2016) Ungulates decelerate litter decomposition by altering litter quality above and belowground. European Journal of Forest Research : in press.
知床でもエゾシカ個体群の過剰な増加は問題となっています。エゾシカによって、植生は大きなダメージを受けていますが、特にエゾシカによる選好性の高い種ほど、葉群の損失や樹皮剥ぎによる影響が顕著です。
今回は、エゾシカ選好性の異なる3樹種の葉と根のリターを用いて、防鹿柵のある天然林と防鹿柵のない天然林での分解実験を行いました。
エゾシカによる過剰な食植は、植物種の構成や多様性に影響を与えるだけでなく、直接的・間接的にリター分解、そして物質循環へも影響を持ち得ることを示しました。
シカ選好性の高いオヒョウは、防鹿柵の外では、リターバッグに入った落ち葉すらほとんど食べられ・・・。
他のメンバーの調査もたくさん手伝いながら現地に長く滞在し野外調査を行い、その後もたくさんの実験をして、論文を執筆してと、長い道のりを経た成果です。
ずっと地道に論文を書き、何度も修正をしてきました。受理直前の段階、マイナーな修正を求められているだけでも、先の知床での野外調査中も、調査と作業後にひとり夜中3時まででも論文原稿とレスポンスレターを直していました。
尊敬すべき地道かつ実直な努力の成果です。