アカデミアにおける多様性と不平等性

上記のとおり、科学出版(つまり論文)における不平等性についての論文を出版しました。

解析は自然科学(群集生態学)なのに、内容が社会科学的という領域横断型の性質により、掲載対象の雑誌がなかなかに見つからずに、公表までに時間を要しました。

Mori AS, Qian S, Tatsumi S (2015) Academic inequality through the lens of community ecology: a meta-analysis. PeerJ 3: e1457.
生態学の分野における2014年までのメタ解析論文454報について、出版雑誌と著者所属国の多様性の時間変化を示しました。さらに、論文出版に影響する要因を解析しました。
概要は以下の通りです。
1)論文数や出版雑誌数は増えているにも関わらず、著者国の多様性はむしろ減少し、一部の国(centrally-located countries)の優占が進みつつあること
2)上記により、生物群集におけるSpecies-abundance distribution(SAD)に相当するような国ランキングのカーブが形成されていること
3)著者国がどこであるかが論文のインパクトファクターに影響し得ること(つまり国の知名度(reputation)が論文出版に影響しうること)
4)夏季オリンピックメダル数・ノーベル賞受賞者数・国内総生産(GDP)の国ランキングも、論文数と同様のSADカーブを描くこと(ただし日本は論文数が少なく外れ値)
5)上記により、科学・社会・スポーツの分野をまたいで、不平等性にある種の普遍性というか根深さがあること
以上から、科学などにおける平等性を促進するフレームワークの必要性を強調しました。
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