気候変動による影響の緩和と適応
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2014年3月26日
IPCCの総会が現在、横浜で開かれているようです。
ニュースでも取り上げられていましたが、気になる表現が耳に入り・・・。
「気候変動による生物多様性の変化を抑制するための適応策を・・・」
大半の人が(研究者も含めて)まったくもって引っ掛かりを覚えない表現でしょうが、非常気になりました。
気候変動に対しては、緩和(mitigation)と適応(adaptation)をもって対処しようと考えられています(たとえば、われわれのかいた総説でも・・・)。
これらは完全に排他的なものではないと思いますが、気候システムへの影響を軽減すること(緩和策、たとえば土地改変に伴う温室効果ガスの排出抑制など)と、気候変動伴う社会や生態系における変化に柔軟に対応すること(適応策)は、別物です。
気候変動(近年の温暖化傾向が人為的な要因であれ、自然要因であれ)による生態系や生物多様性へのさまざまな影響不可避の事象が大きく、変化を抑制することよりも、変化に柔軟に対応することの方がより重要だと思います。
先の表現は、私にとっては、緩和と適応を混同した不適切な表現に聞こえます。
科学が社会に伝達される際の情報ロス(というかミス)は、ほとんどの方は些細と思うでしょうが、伝えたい側にとっては、ときに大きな損失を与え得ると思いました。
最近は、研究者の科学的倫理に関する報道をよく目にしますが、伝える側も聞く側も、リテラシーをもって情報の精査が必要ですね。