人為改変の地

国際学会参加のために、フロリダの州都タラハシーにあるフロリダ州立大学に行きました。

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フロリダは米国第4の人口を抱える州なので、州都はマイアミやオークランドほどではないにしても、それなりの年なのかと思いきや、かなりこじんまりしていて驚きました。聞けば、フロリダがアメリカとスペイン両国に分断されていたころの中間地点だったので、州都になったとか。

 

ところで、南部フロリダは工学的に自然が改変された場所として、よく紹介されています。人間が自然を都合の良いように改変しようとして失敗し、生態系の復元のために、膨大な労力と費用を要している場所です。

そのため、南端のエバーグレーズ国立公園周辺にのみ本来の状態にちかいウェットランドが残っている状態です。

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その典型は、不自然にまっすぐ伸びる運河で、ゆっくりと流れるウエットランドを分断しています。運河の問題はただ不自然なことや分断化を引き起こしているだけでなく、ウエットランドからの排水により乾燥した気候条件下での旱魃や山火事のリスクを極端に高めてしまったことです。

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ゆえに、フロリダは人為改変による生態系の劣化と、それに起因する災害の増加が生じてしまった場所としてよく紹介されています。

 

しかし、入植後の歴史の浅い北米西部の原生的な自然環境に比べれば、確かにかなり人為改変されていますが、日本やヨーロッパでは、このような工学的に改変された環境はそこここで見られます。西カナダに住んでいた時の感覚からすればかなり西とは違うなとは思いますが、日本人の目線で見れば、不自然にまっすぐで護岸された運河は、日本の主要河川のようで特に珍しくもないものでした。
このフロリダ南部がもっとも人為改変されてきたために、もっとも生態系復元に労力と費用が投資されていることを考えると、日本はどうなのでしょうか?

日本では、「防災」のなのもとに自然に手を加えすぎてきたと思っています。徹底的に人為改変された国土をどのようにして復元していくのかが、自然環境の保全だけでなく、自然災害への対応の在り方にもつながると思います。

ゼロリスクを達成することや災害を完全に防ぐことは不可能なので、「減災」を中心とした災害対応の構築と普及は、生態系の保全や復元とも深くかかわる問題です。

 

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