真冬の調査地

久々に調査地であるクートニー国立公園に行きました。さすがに12月中旬となると、完全に冬山でした(当たり前ですが)。出発時の気温は-14℃くらいでしたが、上部では結構寒かったです。

 

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↑2003年の山火事跡地です。

 

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↑Subalpine firとEngelmann spruceの林

 

しかし、やはり冬の森林は綺麗でした。針葉樹に雪が被さり、なかなかに幻想的でした。いくつか野生動物の足跡を見ましたが、このような環境で生活できることはすごいと感じます。人間にとっては、harsh(厳しい、残酷な)であると思うのですが、そこに生育する動植物にとってはそうではないのでしょうか?

以前に、北極圏の調査地の論文にて、”harsh”という言葉を使った際に、それは人間の主観だと、査読者に指摘されたことがあります。調査地の2月の平均気温が-38℃なので、すべての生き物にとってとてもharshだと思ったのですが・・・。

しかし、このような環境にこそニッチがあり、繁栄できる生物がいることを考えると、それらの生物には、harshどころか他の南方種に競争排除されない快適な場所なのかもしれません。そう考えると、確かにharshという表現は、人間の視点から見た主観に過ぎないと思えます。

雪崩だって、山火事だって、人間から見れば災害ですが、ある種の生物にとっては、むしろ必要なイベントです。そう考えると、(以前に比べてマシになりつつあるのでしょうが)生態系のいろいろな事象を人間の主観で捉えすぎていないかと不安になります。

そんなことを考えた1日でした。

 

 

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